人間の平均寿命は先進国では70歳と言われている一方、犬の平均寿命は12〜14歳と言われております。
今回の記事では、人間と犬の寿命の違いについて遺伝子レベルの研究結果が発表されましたのでご紹介します。
目次
日本人の平均寿命
「日本人の平均寿命は男性81.64 歳 女性 87.74歳(男女差6歳)」と言われ、10年後には日本人の平均寿命は100歳近くになると予想されています。
愛犬の平均寿命は・・・・
小型犬・中型犬 14歳
大型犬 12歳
日本で飼育されている愛犬たちは日本人同様平均寿命は伸びている傾向にあります。しかし、愛犬たちの平均寿命は人間と比べて短くアニコム白書2020年の調べでも14年ぐらいが実情です。
寿命に関係する大切な因子は?
生涯心拍数
現在一般的に心臓拍動限界という考えが寿命に関係しているとされています。
つまり、生涯で、振動の拍動数が決まっており、それが寿命の限界であるという理論です。
体格の大きさと心拍数の関係
体格が大きいと心拍数が低くなり、寿命が長くなることがわかっています。
人間の生涯心拍数
人間が一生の間に打つ心拍数は「23億回」
心拍数と寿命の関係
「象の時間、ネズミの時間」の本にあるように人間の時間感覚と他の動物の時間の感覚は異なります。時間生物学の概念を取り入れ、哺乳類ごとの体重や心拍数、心周期(1心拍にかかる時間)と寿命との関係を分析し、人間が一生の間に打つ心拍数は「23億回」と計算されています。この結果から、理論的には、1分間の脈を測り、その数で割れば、寿命(分)がわかる。心拍数が60回で約73年、70回で約63年、80回で約55年になる。という計算です。
つまり、血圧が正常でも心拍数が1分間に70回以上の人はそうでない人よりも心臓病による死亡リスクが約2倍になる、という論文も発表されています。
犬の生涯心拍数
犬が一生の間に打つ心拍数は「8億回」
愛犬の平均寿命を14歳として、1分間の平均心拍数は120回として計算すると犬の生涯心拍数が算出できます。
120回/分✖️60分=7,200回/時間
7,200回✖️24時間=172,800回/日
172800✖️365日✖️14年=8億8000回
犬の生涯心拍数は「約8億回」ということになります。
この理論でいくと人間に比べて犬の生涯心拍数の1/3なので、平均寿命は25歳前後と推定されます。
もちろん、この拍動限界説はあくまで、理論上の話であり。心臓だけが寿命に関与しているわけではありません。しかし、寿命を知る上で、心臓の拍動数が関与しているのは明白です。
では、なぜ、犬は平均寿命が短いのでしょうか?
答えは。。。。
犬の細胞分裂限界が人間より少ないという科学的データー
心臓という臓器を構成しているのは心臓の細胞であり、その細胞には分裂限界というのが存在していることから、細胞の分裂限界を知ることが寿命の解明につながると考えられており、今回の研究で衝撃的な事実が解明されました。
「テロメアの長さと犬種の寿命の関係」
Telomere Length Correlates with Life Span of Dog Breeds
Volume 2, Issue 6, 27 December 2012, Pages 1530-1536
Telomere Length Correlates with Life Span of Dog Breeds
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124712004184
犬のテロメアは人間のテロメアより短い!
犬は人間に比べてテロメアDNAを約10倍の速さで失い、さらに人間よりも極端にテロメアが短いことが解明された。これは平均寿命の比率と同様である。また、平均テロメア長が短い犬種は、心血管系疾患で死亡する確率が高いことも今回の研究で明らかになりました。
まとめ
テロメアは遺伝子の一部で、テロメアの長さは、大部分が親から受け継がれます。
そして人間と犬のテロメアの特徴は大変似ており、「長寿の親から生まれた子供はテロメアの長さが長くなる」という遺伝性があることから、特に短命の犬種では、少ない世代で健康寿命を大幅に延ばすことができるかもしれません。
テロメア遺伝子を守るためには、心拍数の上昇を抑えるために自律神経の乱れないために、ストレスをためない生活が一番の長寿の道です。
ヒトは1分間の心拍数が70回なのになぜ長生きなのか?
ヒトは1分間の心拍数が70回なのになぜ長生きなのか?
哺乳類の中ではヒトだけが例外です。ヒトだけが圧倒的に(異常に)寿命が長いのは、ヒトは文明社会を進化させ、健康管理や医療の恩恵を受けて生活しているので、厳しい自然のなかで暮らす野生動物よりも長生きであると考えられています。つまり、ヒトの進化が寿命の延命化を実現したということになります。